任務から戻ったら、ベルが私を待っていた。
「おっかえりー!ちょっと来てみろよ、いいもんやるから」
言い終わらないうちに手を掴まれて、そのまま食堂へ強制連行。ご丁寧に椅子を引いて私を座らせたベルは、まるでレストランのウェイターみたいだ。
「なぁに?いきなり」
「まぁいいから。座って待ってろって」
動くなよ、と念を押すかのように後ろから私の両肩を軽く叩いておいて、スキップでもしそうな足取りで厨房へと消えていく。じっと見送っていたら、すぐにお皿を一つ持って帰ってきた。
「どーぞっ!」
目の前に白いお皿が置かれる。その上には、トリュフのような、茶色くて丸いものが5つある。ココアをまぶしてあるようだけどチョコレートではなさそう。
「これは?」
「俺お手製のスイートココアボウル。有難く戴けよ?」
「へぇ・・・ベルお菓子作りなんかできるんだ」
添えられていたフォークを持って、一つを刺してみた。柔らかいけど、ちょっと弾力がある感じ。
「何が入ってるの?」
「言ったらつまんねーじゃん。食ってみろって」
自信ありげに白い歯を見せるベル。味は王子様の保障付きらしいので、期待して口に入れてみた。甘い。これは・・・・・・イモ?と、・・・おもち?
「・・・美味しい」
「さすが王子だろ?もたまには日本が恋しいんじゃねーかと思ってさ」
うしし、といつもの笑い。すごい、ほんとに美味しい。しかもお餅入りってどうなの。手に入れることはボンゴレならそう難しくはないだろうけど、それを、こんなお菓子にしてくれるなんて・・・。
王子様の優しさに感動して黙り込んでしまった私を、ベルはそっと横から覗き込んできた。
「・・・なんかさ、」
「ん?」
「、これ食う前より綺麗になった」
「・・・・・・・・・」
一言も発することが出来ないまま、ボッと音でもしそうなくらい頬を火照らせた私を、ベルは嬉しそうに見ている。